恋し、挑みし、闘へ乙女
「いらっしゃいませ」
豪華な彫刻が施された木製の玄関ドア前で、高級そうな黒の燕尾服に蝶ネクタイ姿の男性が仰々しく挨拶をする。
この家の執事だろうか? 乙女はジャン・菊衛門に似たその人を見ながら彼を思い、やっぱり燕尾服を新調しなければ、と決意を新たにする。
「梅大路綾鷹様のお見合い相手、桜小路乙女様ですね。私は常磐の執事、米俵重也(こめだわらしげなり)と申します」
「皆様、もうお集まりになっていらっしゃいます。どうぞこちらへ」と重也は乙女を中へ誘う。
「――もしかしたら、私、遅刻ですか?」
「いえ、そうではございません。乙女様の到着は時間通りでございます」
顔を青くする乙女を落ち着かせるように重也が穏やかに言う。
「ただ、古参のメンバー方と集合時間が違っただけです」
「ああ、そういうことですか」と乙女はホッとする。
「私、何も聞かされていないのですがメンバーの方は何人いらっしゃるのですか?」
長い廊下を行きながら乙女が訊ねる。
「本日お集まりになっているのは七名です」
重也曰く、メンバーは全部で十六名だそうだ。
「いずれも常磐の奥様が選ばれた名家中の名家の方々ばかりです」
豪華な彫刻が施された木製の玄関ドア前で、高級そうな黒の燕尾服に蝶ネクタイ姿の男性が仰々しく挨拶をする。
この家の執事だろうか? 乙女はジャン・菊衛門に似たその人を見ながら彼を思い、やっぱり燕尾服を新調しなければ、と決意を新たにする。
「梅大路綾鷹様のお見合い相手、桜小路乙女様ですね。私は常磐の執事、米俵重也(こめだわらしげなり)と申します」
「皆様、もうお集まりになっていらっしゃいます。どうぞこちらへ」と重也は乙女を中へ誘う。
「――もしかしたら、私、遅刻ですか?」
「いえ、そうではございません。乙女様の到着は時間通りでございます」
顔を青くする乙女を落ち着かせるように重也が穏やかに言う。
「ただ、古参のメンバー方と集合時間が違っただけです」
「ああ、そういうことですか」と乙女はホッとする。
「私、何も聞かされていないのですがメンバーの方は何人いらっしゃるのですか?」
長い廊下を行きながら乙女が訊ねる。
「本日お集まりになっているのは七名です」
重也曰く、メンバーは全部で十六名だそうだ。
「いずれも常磐の奥様が選ばれた名家中の名家の方々ばかりです」