つちかぶりひめ


「着物がどう見ても貴族の娘だもの。むしろよく今まで声をかけられなかったね」


笑われているのは分かっているものの、その笑いはバカにするような見下すものではなく、本当に面白いと思っているような笑いだと感じ、不思議と腹は立たなかった。



「それならどうして私を見て驚かなかったの?」

「ああ、私もよく家から抜け出していたからね。君もそうなんだろう?…まぁ、流石に姫が抜け出すのは頂けないとは思うけど」

「む、鈴と同じことを言う…」



「鈴…?」

青年はびっくりしたように聞き返す。

「あ、鈴っていうのは、私の侍女のことなの」

説明すれば、そうか…と納得したように青年は頷いた。




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