つちかぶりひめ
「さく姫様!今日も出てきたんだね!」
「だって今日もこんなに天気がいいのよ?」
鳥のさえずりに耳を傾けるさく姫様に、そりゃあちがいねぇ!と笑う村人。
「そういえば今日は野菜を収穫しようと思っているんですが、さく姫様もご一緒しますか?」
「えぇ!いいの?喜んで!!」
「いつもくれるお野菜とっても美味しいから、すごく楽しみだわ!」
「さく姫様なんて嬉しいことを…!」
わくわくとするさくに、何人かの村人は涙目になり喜ぶ。村から少し離れた畑まで来ると、その近くにある宿は賑わっているようだった。
「ああ、また今日も貴族様が宿泊してるようですねぇ」
さくの視線の先に気付いて、村人は言葉を続ける。ここ数日あの宿にずっと宿泊している人がいるらしく、立派な牛車を見ながらそう説明してくれた。
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