つちかぶりひめ
綺麗な装飾が施された牛車を見て、さくはハッとしてその宿の方へと近づく。
村人に不思議がられながらも牛車に近づいていくと、後ろから腕を引っ張られた。
「わっ!」
びっくりして声をあげたものの、正面から強く抱きしめられている形になり、相手の胸元に口があたり声がこもってしまう。
離して貰おうともがくと、さくを抱きしめていたその腕はすんなりと離れたため、慌てて距離を取った。
「いきなりごめんね」
声に反応し、さくは振り返りその顔を見る。
「久しぶり、若葉の姫」
「十夜様!」
そこにはこの間あったばかりの青年の姿があった。
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