つちかぶりひめ
「どうだい、さく姫…気に入った人はいたかな?」
「最後の人が1番話は面白かったけど…最初の人かな」
妥協に妥協を重ねさくが選んだのは、1番最初に対面したなよっとした殿方。
「では、彼にもう一度話を持ちかけてみるとするよ。さく姫…幸せになるんだよ」
さくをギュッと抱きしめて、幸せを願う若葉をさくも抱きしめ返す。
これで話が相手方に届き、相手が次に来訪したら、縁談はほぼ確定すると言って間違いないだろう。
そうすると今までみたいに自由には過ごせない。縁談が確定する前に、村人たちや、会えたら十夜にもお別れを言わないと。
さくは痛む胸を無視して若葉を抱きしめる腕に力を込めた。
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