つちかぶりひめ



大安の日。さくの家では侍女たちが忙しなく動き回り、若葉はその様子を寂しそうに眺める。

当人であるさくは、侍女たちにされるがまま衣服を整えられていた。



「今日、さく姫は若葉の姫として契りを交わすんだなぁ…」

今は亡き妻の形見である着物を膝にかけ、若葉は縁側で1人呟く。


今の時世には珍しく妻を1人だけ娶った若葉は、その妻…さくの母を正妻として恋愛結婚したことを思い出し、着飾っている娘を思いながら哀愁を漂わせ、相手の殿方が来るのを待っていた。




しかし、日が沈んでも例の殿方は家へと来ない。何かあったのだろうかと遣いを出せば、慌ててその遣いは戻って来た。




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