つちかぶりひめ


「どうやら殿方のお父様が宮中で不正を働いていたらしく、今朝方左遷を言い渡されて都から出て行ったそうです!」


「なに、それは事実なのか!?」

「はい!確認したので間違いありません!」



ざわざわとざわめく侍女と、頭を抱えた若葉。


「なんの騒ぎですか?」


その騒がしさを不思議に思ったさくが表へと出ると、遣いから同じ内容が告げられた。



「そしたら、私は結婚しなくても良いということですか?」


「…すまぬな、さく。良い殿方を、と思ったのだが、、」

「結婚する前に分かって良かったのですから、お父様も気にしないで!」


落ち込む若葉を慰めるよう、背中を撫でるさく。その胸中は、結婚しなくて済むという安心感でいっぱいだった。



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