つちかぶりひめ

「いきなり何をするんですか！！！」


貴族の姫としてあるまじき行動に不意をつかれた青年は、力の流れに逆らえず後ろへと倒れこむ。
その隙をついて青年の下から抜け出したさくは、侍女の部屋へと繋がる廊下への襖を開けると、声をあげて助けを呼んだ。


「さく姫様！？いかがされましたか！？」

どたばたと数人の侍女たちの足音が聞こえ、青年はゆらりと体を揺らし立ち上がる。


「若葉の姫、覚えておくといい」


一言言い残し、そのまま外へと素早く出て行った青年とすれ違うように、鈴たち侍女が部屋へと到着した。


「何があったのですか！？」


さくの乱れた髪と服を見て心配そうにする鈴たちに囲まれて、さくは呆然とその青年が出て行った方を見つめていた。




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