つちかぶりひめ


若葉の姫が何者かに襲われたという事件は、あっという間に貴族たちに広まった。


姫が殿方に襲われるということは、その姫の貫禄の失墜と同意で大変不名誉なことであり、それが未婚の姫であったならば当然姫の評価も下がり、求婚をされなくなる。

さらには、そんな姫を持つ親…若葉にまで悪評として影響がもたらされることになるのだ。



それを見越して侍女やさく本人は外へと漏らさないように努めていたにも関わらず、気付けばあっという間に噂は広がってしまっていたのだった。



「まったく、誰がそんな噂を流しているんですかね…さく姫様、気にしなくても良いですよ」


「うん、ありがとう鈴…」


「私も極力家に帰るようにするから、何かあればすぐに助けを呼ぶんだぞ」


「お父様もありがとう…」




普段あれだけ元気なさくであっても、父までをも巻き込んでしまったとあっては流石に深く落ち込む。

そんなさくの姿に、若葉も鈴も心を痛めるのであった。



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