つちかぶりひめ


父が村人たちと話している様子を、さく姫は少し離れたところから眺める。

先程までは父と共に村人に囲まれ話をしていたものの、次第に話は世間話へと代わり、興味が薄れたために父から逃れてきたのだ。



「あ、蝶々!」


黄色い羽根をはためかせ、ふわふわと飛んでいく蝶にさくは誘われるようについていく。


そして、蝶がやっと止まったことで、さくはふと周りを見た。

自分よりも遥かに高い木々に囲まれ、低木や足元にはたくさんの花が咲いている。


「わぁ、きれい〜〜!!」


迷子になったにも関わらず、さくはそんな不安を感じることなく目に入った花々を愛でていた。



.
< 4 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop