つちかぶりひめ
父が村人たちと話している様子を、さく姫は少し離れたところから眺める。
先程までは父と共に村人に囲まれ話をしていたものの、次第に話は世間話へと代わり、興味が薄れたために父から逃れてきたのだ。
「あ、蝶々!」
黄色い羽根をはためかせ、ふわふわと飛んでいく蝶にさくは誘われるようについていく。
そして、蝶がやっと止まったことで、さくはふと周りを見た。
自分よりも遥かに高い木々に囲まれ、低木や足元にはたくさんの花が咲いている。
「わぁ、きれい〜〜!!」
迷子になったにも関わらず、さくはそんな不安を感じることなく目に入った花々を愛でていた。
.