つちかぶりひめ


「なっ…!」


目を覚まし、声を上げようとしたさくに気付き、青年はさくの口を己の手で覆う。


そのため張り上げたはずの声はこもり、眠りの深い侍女や若葉が声に気付くことはなかった。



「目がさめるには少し早かったかな」



にひるに笑ったその笑顔に、さくは背筋に冷たいものを感じる。



「まぁ、抵抗されるのも珍しくて燃えるし、そのまま頑張ってなよ」



そう言って今度はさくの服へと手をかけ、結んであった紐をぐっと引っ張った。



服が最早布切れと成り果て、さくは諦めて目を瞑る。


「抵抗しないの?…まぁいいけど」


まぶたの裏にある人物を思い浮かべながら、さくの目から一筋の雫がこぼれた。



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