つちかぶりひめ
「皇子様…なの?」
自分を守るように抱える十夜に、さくは恐る恐る尋ねる。
「…うん」
バツの悪そうにそう答えた十夜に、さくは慌てて十夜から離れた。
「数々のご無礼、申し訳ございませんでした皇子様…」
深々と、普段のさくからは想像もできないような真面目さで十夜に向かって平伏す。
皇子と言えば、時期帝候補でもある春宮の位に就くであろう人であり、当然位は最高位に属する。そんな方に軽視して近づけば、他の貴族から、果ては帝からも蔑視され、最悪一族全員が処されてもおかしくはないのだ。
さくは十夜が皇子であることを知らなかったとは言え、皇子に対してあるまじき言動を取っていた。
その事の重大さに、さくは一心に謝罪をするしか他なかった。
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