つちかぶりひめ



「さく姫様、僭越ながら助言させて頂くとすれば、自分の気持ちに素直になることです」


「自分の気持ちに…」


「そうすれば、自ずと道が開きますよ」


鈴の言葉に、さくは再び物思いに耽る。

そんなさくを後に、桶を持って部屋を出れば若葉が中を伺うようにして廊下に立っていた。



「さく姫の具合はどうだい?」


「体調はだいぶ回復しました。けれども、やっぱりまだ気持ちが整理できていないようで…。私では役不足かもしれません」


「そうか…ありがとう」



落ち込む鈴に、何かを考える若葉。

鈴と入れ替わるように部屋へ入ると、横になっているさくの隣へと腰を下ろした。




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