つちかぶりひめ
花を愛でていたさくは、背後からのガサガサと草木を揺らす音に反応して振り返る。
しかし、待てども音の方から動く気配はなく、さくは恐る恐る近づき、奥を見るため視界を覆っている低木をかき分けた。
「そんなところで何してるの?」
「……」
切り株に腰を下ろして空を仰いでいた少年にさくは尋ねる。けれども少年はこちらを向いて何も言わず再び空を仰いだ。
「空に何か見えるのー?」
少年につられて上を見れば、風とともに揺れる高木の葉と、垣間見える空を自由に飛ぶ2羽の小鳥がさくの視界に広がった。
「わぁ、葉っぱも小鳥も気持ちよさそうだね!」
キラキラとした目で空を見るさくの横顔を、少年はびっくりしたように見つめる。
その視線に気付いたさくは、少年へと視線を移した。
.