つちかぶりひめ
「どうしたの??」
「…べつに、自由でいいなって思って」
地面につかない足をぶらぶらさせながら呟く少年に、さくは首を傾げる。
「あなたは自由じゃないの?」
「毎日ああしろこうしろって煩いの。好きで今の立場になったわけじゃないのに」
「…私のお父様もね、立場が嫌で逃げたんだって言ってた!だから今ここにいるんだって!
でもね、たまに私を見てぼーっとするの。鈴に聞いたらね、、あっ、鈴っていうのは侍女のことなんだけど、私が将来結婚するのに、今の立場じゃ良い人と結婚できないんじゃないかって心配してるみたいなの。だから、あの時逃げなければって後悔してるみたい」
下を見ながら思いつめたような顔をする少年に、さくはなんとかしようと言葉を連ねる。
「私は今の生活に不満もないし、結婚相手が酷い人だったら嫌だなぁーって思うけど、お父様が後悔してる顔を見るのはもっと嫌なの。だからね、えっと、何が言いたいのかというと…」
「自分が後悔しないようにすれば良いと思うの!そしたらね、自分も周りもみんな幸せだよ!」
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