【完】はじめての…
夏休みはというと、

わたしは夏期講習に行っていて

友だちならず、同じマンションである

春菜や翔すら会うことがなかった。



まぁクラスも違うし


会う機会も少ないんだけど…。



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9月のある日。


防災訓練から早めに帰宅することに。


集団下校ではないけど、

確認が取れた人たちから

帰ることになった。


春菜は3組の絵里【えり】ちゃんと

帰ると言ってたので

今日はわたし1人だ。

わたしも含めて春菜と絵里ちゃんは

モダンバレエのメンバーである。

まだ何人かもいるが、

その話であるらしい。


わたしはもう去年に辞めちゃったから

よくは知らないけどね…。



気づいたら、もう家の前。

考え事してると早く歩いちゃうのかな。

すると、

「やーい!ここまでおいで!」


マンションに住んでる紘【ひろ】くんが

わたしの隣を走っていった。


春菜の弟で、小学2年生。


元気いっぱいだ〜!


なんて思っていたら、


「まて〜!」

という聞き慣れた声。


え?


その後を走ったのは翔だった。


わたしの横を走って行った

翔のランドセルが

パカっパカっ

と開いてることに気づいた。

「ね、翔ー!」

だめだ、声がなぜか出ないし

翔に全然聞こえてない…。

よし、と決めたわたしも

翔の後を追って走りながら、

「翔!」

と叫んだ。

「ん?」

わたしの呼んだ声に振り返った翔。


「はぁ、はっ、あの、さ、

か、翔のランドセル、

開いてる、よ?」


走って息も絶えだえの中言うと


「ん?おう、ありがとな」

と言ってランドセルをきちんと閉めた。


どき。


あれ、わたし、

この感覚前にも…


どこだ?どこだっけ?

必死で頭を回転させると…

あ、あの雨の日の…!


わたし翔の笑顔見るたびに…


「おい、ひな?大丈夫か?」

気がつくと、翔がわたしを見ていた。

「え?あ、うん、大丈夫だよ」

「そっか、じゃあな!」

と翔は家に帰っていった。





なんや、かんやわたし


翔のこと


目で追ってる…!!?



追ってるって…




あ、



そっか、





わたし、、好きなんだ。




わたしの好きな人って




翔なんだ。

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