俺様社長に甘く奪われました
一時間後、到着した三人の目の前には、広大な敷地に横幅およそ百二十メートル、奥行き五十メートルの巨大な建物がそびえ立っていた。
朝ソリではいくつか物流センターを手掛けてきたが、ここまで大きなものはかつてない。大型トラックの出入りが安易にできる広い間口が設けられており、一度に何台もの荷下ろしが可能だ。
「すごく大きいですね」
「国内でもこれほど大きな食品の物流センターはありませんからね」
驚く莉々子に木村が補足する。
「では、中へ行ってみましょうか」
志乃も莉々子も、口を半開きにして感心しながら建物の中へと入った。広々とした空間は真新しく白い床が光って見える。
するとそこに十人ほどのグループがひと塊で動いた。その中に望月の姿を見つけて、莉々子の鼓動が揺れる。
(社長も来てたんだ……)
いつも上質なスーツを身にまとっている望月は、ワイシャツにネクタイを締め、その上にペールブルーの作業着というスタイルだった。見たことのない姿もまた、莉々子の目に新鮮に映る。少し離れた場所からでもその存在感は隠しようがなく、きっと顔が見えなくても望月だとわかるだろうと思われた。