俺様社長に甘く奪われました

「そうだったか?」


余裕の表情でとぼけたように笑う望月には、なにを言っても莉々子は無駄な気がした。


「奏多もやるときはやるんだな」
「京介には言われたくないが」


 ふたりはお互いの肩を小突いて笑い合った。

 望月によると、京介も親の反対を押し切って結婚を進めている最中だそうだ。紆余曲折を経て無事に婚約を済ませ、今は幸せいっぱいらしい。

 去り際に望月になにか耳打ちをして、「じゃ」と軽やかな足取りで行った京介を見送り、莉々子たちは、ようやくランチバイキングの店へと足を踏み入れた。
 午後一時半を回った店内は日曜日というだけあって満席に近い状態だ。


「私、たくさん食べますね」


 莉々子は望月にそう宣言し、和洋中と目移りしてしまいそうなほどたくさん並んだ料理を前に、あれこれと皿へのせていく。望月の手も借りて、大きな皿三枚分をテーブルへ運ぶ。


「これ全部食べるつもりか?」

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