俺様社長に甘く奪われました
目を丸く見開いて呆れる望月に「はい」と大きくうなずく。
「でも社長もここから取ってくださいね。またお代わりしてきますから。それとも、同じ皿から食べるのは嫌ですか? それなら取り皿を――」
「いや、いい」
立ち上がって足を踏み出したところで、望月に手首を掴まれた。
「一緒で大丈夫だ」
やけにニコニコと笑っているのは、見合いをひとまず回避できた解放感のせいなのか。
「では、いただきます」
手を合わせて早速フォークを持ち、莉々子がラザニアを口に運ぶ。
「熱っ!」
できたてなのかものすごく熱い。お腹が空いていることもあり、莉々子はついガツガツしてしまった。
「おい、大丈夫か?」
「……はい」
「そんなに慌てずゆっくり食べろ。時間はいくらでもある」