俺様社長に甘く奪われました

 目を丸く見開いて呆れる望月に「はい」と大きくうなずく。


「でも社長もここから取ってくださいね。またお代わりしてきますから。それとも、同じ皿から食べるのは嫌ですか? それなら取り皿を――」
「いや、いい」


 立ち上がって足を踏み出したところで、望月に手首を掴まれた。


「一緒で大丈夫だ」


 やけにニコニコと笑っているのは、見合いをひとまず回避できた解放感のせいなのか。


「では、いただきます」


 手を合わせて早速フォークを持ち、莉々子がラザニアを口に運ぶ。


「熱っ!」


 できたてなのかものすごく熱い。お腹が空いていることもあり、莉々子はついガツガツしてしまった。


「おい、大丈夫か?」
「……はい」
「そんなに慌てずゆっくり食べろ。時間はいくらでもある」

< 134 / 326 >

この作品をシェア

pagetop