俺様社長に甘く奪われました
望月にクスクスと笑われ、食い意地が張っていることを指摘されたようで莉々子は恥ずかしくなる。それを誤魔化そうと、「京介さん、さっき去り際になんておっしゃったんですか?」と聞いた。
「知りたい?」
なぜかもったいぶって望月が言う。
そんなふうに気を持たせられると余計に気になるのが人間の性。莉々子は「教えてください」と低姿勢でお願いした。
「俺たちのことをお似合いだって言ったんだ」
「えっ、わ、私たちが?」
莉々子からしてみると、どこをどう見ても不釣り合い。綺麗なワンピースでいくら着飾ろうが、望月と莉々子では生きている世界が違う。とうていお似合いにはなりようがない。
「いい加減に答えを出せ」
「答えってなんでしょうか?」
そう聞き返してから、莉々子はすぐにピンときた。
「イエスと言え」
「……そんなに簡単に決められないです」