俺様社長に甘く奪われました
「そのうち出てくるんじゃない? どこか奥のほうにでも入っちゃったのかもしれないし」
「……そうですね」
いつまでも探しているわけにはいかない。志乃の言葉にうなずき、莉々子はパソコンを立ち上げた。
「そういえば莉々ちゃん、落成式の備品類は万全?」
「はい、それでしたら一週間前に発注済みです」
「そのあとの披露パーティーのケータリングも?」
「もちろんです。準備万端です」
稼働後の運営も朝ソリが担っているため、落成式の案内から進行のいっさいを朝ソリが取り仕切ることになっている。そこで必要とされる備品類の発注や管理は、社内の物品同様に総務部が管理責任者となっていた。
「いつもの業者さんに発注したの?」
「そうです」
「それじゃ、あとは当日を待つばかりね」
「はい」
志乃にうなずいたところで、前の席の松永がパソコンの上から顔を覗かせる。