俺様社長に甘く奪われました

「志乃さんって、望月社長と同じ高校出身なんですね」


 唐突にそんな話を振られた志乃は、「え?」と驚き顔だ。


「そうなんですか?」


 松永と一緒になって莉々子まで聞くと、「あ、うん、まぁ……」となぜか志乃の目が泳ぐ。


「……そんな話、どこで聞いたの?」
「人事に同期がいるんですけど、そいつから」


 眉をひそめて不審がる志乃に、松永は平然と答えた。


「志乃さんって確か三十歳ですよね? ということは、社長が三年生のときに一年生だったわけだ」
「松永くん、面と向かって女性の年齢を公表するものじゃないわよ」


 志乃にチクリと言われても、松永は「へへへ」と笑うばかりで全然堪えていない。それどころか「そんな古臭いこと言わないでくださいよぉ」なんて言う始末。

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