俺様社長に甘く奪われました

「今日もこれから里穂ちゃんとデート?」
「まぁそんなところですね」


 毎日ラブラブで羨ましい。莉々子には当分縁遠い話かとため息交じりに「じゃあね」と手を振ると、「あ、莉々子さん」と彼に呼び止められた。


「今朝は志乃さんがなんだか機嫌が悪かったから話せなかったんですけど」


 松永が急に声のトーンを落とす。いったいどんな密談なのか。


「望月社長って、朝菱商事の東条社長の隠し子らしいですね」
「え?」


 思わぬことを松永が言いだす。望月が東条の隠し子だとは、尋常な話じゃない。


「……それも人事部の同期から?」
「いや、これは別ルートです。実は大学時代の友達に望月家と遠い親戚がいて。だから確かな情報筋ですよ」


 松永は得意気に鼻の下をこすった。

(社長が隠し子……? それじゃ以前、社長が私に話したことは本当のことだったの?)

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