俺様社長に甘く奪われました
足音を立てて近づく闇

「これ、莉々子さんが探していたハンドクリームじゃないですか?」


 松永がチューブを手にして総務部に戻ってきたのは、真紀、志乃と三人で食事をした日から三日ほど過ぎた金曜日の午後のことだった。


「そう! それ! どこにあったの?」


 思わず興奮して指を差す。


「一階のゴミステーションです」
「……ゴミステーションに?」


 どうしてそんなところで見つかるのだろう。
 松永によると、電気の点検でそこに入ったときに、たまたま袋からこぼれ落ちていたらしきハンドクリームが転がっていたとのこと。


「莉々子さん、間違えて自分のゴミ箱に捨てちゃったんじゃないですか?」
「……そうなのかなぁ」


 莉々子は首を捻った。

(きちんと引き出しに入れたはずなんだけど……。もしかしたら、なにか別のものと間違えて捨てちゃったのかな)
 思い返してみても心当たりはない。

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