俺様社長に甘く奪われました
『本当に発注したんですか?』
松永が疑念たっぷりに繰り返す。
「確かにしたよ。たくさんあるから漏れや間違えのないようにネットで注文して、念のために電話でも確認を取ったの」
だから間違いない。それが届いていないとはどういうことだろうか。
『日にちは間違えてないですか?』
「……日にちを?」
そんな初歩的なミスをしたのか。
「と、とにかく、今すぐ確認して折り返します」
『お願いしますね』
松永との電話を切ると、そばで見守っていた木村が「なにがあったんですか?」と心配そうに尋ねる。
「備品類がセンターに届いていないようで……。とにかく、確認してみます」
あまりの事態に膝が震えだす。
(大切なセレモニーなのにどうしよう……)