俺様社長に甘く奪われました
そこで莉々子はハッと思い出す。
(ケータリングのほうは、まさか大丈夫だよね……?)
セレモニーのあと、その場で立食形式の簡単なパーティーを開催予定なのだ。
念のために確認しようと電話を掛けると、信じられないことにこちらもキャンセルされていた。備品業者同様、一週間前に連絡が入ったと言う。そしてやはり、こちらも当日では用意が難しいと断られてしまった。
(いったいどうして……? なにが起こってるの?)
自分の椅子に座り途方に暮れる。
みんなになん説明したらいいのか。落成式を今からキャンセルすることは無理だ。朝ソリだけの問題ではない。得意先の物流センターなのだから。
(私、大変なことをしたんだ……)
思いもしない事態に、莉々子はその場から動けなくなってしまった。
そのとき、ふと総務部のドアが開く。入ってきたのは、なんと上田を伴った奏多だった。
「もうみんな向かったのか?」
「はい、ひと足先に現地に……。なにかありましたか?」
「セレモニー進行の完成版をもらっていなかったから取りにきたんだ」
「あ、それでしたら……」