俺様社長に甘く奪われました
「私、祥真の言葉のせいで、ずっと恋愛できなかったの。それなのに今さらそんなこと言って……ずるいよ……」
絞り出すように莉々子が抗議する。あの言葉の重さを祥真はわかっていない。
「それじゃ莉々子は、どんな理由なら納得する? 本当に最初から好きじゃなかったって言えばよかったのか?」
祥真にそう投げかけられて、自分に問いかける。
(私は彼からどんな理由がほしかったの?)
莉々子は自分で自分がわからなくなる。ただひとつ言えることは、祥真に『ちゃんと好きだった』と言われて心がどこか軽くなったことだった。
自分だけが傷ついて、自分ひとりが思い悩んで過ごしてきたのかと莉々子は思っていた。だが、祥真はもしかしたらもっと重いものを抱えていたのかもしれない。傷ついたのは莉々子だけではなかった。
祥真が自分を好きだったという確証がほしかった。ちゃんと愛されていたという確証が。それがなかったがために、莉々子はずっと自信を持てずに三年間を過ごしてきた。
「莉々子、俺たち、もう一度……」
祥真の手が莉々子に重ねられる。