俺様社長に甘く奪われました

「祥真、私――」


 その手を毅然と振り払おうとしたときだった。莉々子がそうするより早く伸びてきた手が、彼女の肩を引き寄せ祥真から遠ざける。


「悪いが、莉々子を渡すわけにはいかない」
「……っ!?」


 奏多が現れたのだ。


「ど、どうしてここに!?」


 驚く莉々子を尻目に、奏多がふたりの間に割って入る。


「奏多、あのね」
「相沢社長、これはいったいどういうことでしょうか?」


 莉々子を遮る奏多の背中から伝わる、静かな怒りが彼女を焦らせる。


「……望月社長こそ、いきなり不躾ではありませんか?」
「いいえ、莉々子は私の恋人ですから」


 奏多の言葉に祥真が愕然とする。莉々子を見て“そうなのか?”という目をした。

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