俺様社長に甘く奪われました

◇◇◇

『社長と激しい夜は過ごせた?』


 そんな電話が真紀から掛かってきたのは、翌朝のことだった。
 明け方近くまで愛を囁き合い、身体を重ねていた莉々子たちは、午前十時を過ぎてもベッドの一部と化すように寝ていた。


「……おはよ、真紀」
『なによ、その寝ぼけた声は。……もしかして、まだ社長と一緒?』


 そう聞かれたタイミングで、半覚醒の奏多が「莉々子」と引き寄せ、唇を重ねる。チュッと音が立ったものだから、真紀から『ちょっと! 今のはなぁに? キスしてたでしょ。もー、朝からエッチだな、莉々子は』とからかわれてしまった。

 まだ眠っている奏多を残し、莉々子は彼のシャツを素肌に羽織りスマホを耳のあてたままベッドルームを出る。リビングの一角に置かれたピアノの椅子に腰を下ろした。


「昨日、祥真と会うことを真紀が社長に教えたんだってね」
『心配だったの。莉々子が流されやしないかって』
「急にアストロに現れるからびっくりしたじゃない」
『でも、おかげで社長と濃厚な時間を過ごせたんじゃない? ジェラシーは恋のスパイスだからね』

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