俺様社長に甘く奪われました
「はい、ご心配なく。莉々子は責任を持って幸せにしますので。……はい、では失礼します」
奏多は通話を切ると、スマホを莉々子に返した。
「おはよう、莉々子」
後ろから莉々子を抱き込んだ奏多が、頬に唇をあてる。
「おはようございます」
窓から黒いグランドピアノに光が差し込み、そこに反射した白い筋が部屋に幾重にも伸びていた。
「真紀にあんなことを言っちゃってよかったんですか?」
責任を持って幸せにしますなんて、まるでプロポーズみたいだと、莉々子はなんとも照れ臭い。
「俺はその気だ」
そう言いながら、髪にキスを落とす。
(その気? ……そこまで考えてくれているの?)
思わぬ言葉に莉々子の胸が弾んだ。