俺様社長に甘く奪われました

◇◇◇

 ゆっくりと目を開けると、真っ白な部屋にいた。壁も波を打つカーテンも真っ白。そこにふと入り込んだ祥真の顔に、自分が今どういう状況に置かれているのかわからず戸惑った。


「莉々子、やっと目を覚ましたか。今、看護師を呼ぶから」


 祥真がブザーを鳴らした。

(……看護師? それじゃ、ここは病院? ……そうだ。私、会社で倒れたんだ)

 自分を置いて立ち去っていく奏多の背中を思い出して、莉々子の胸が締めつけられる。

(目なんて覚めたくなかった……)

 苦しくて苦しくて、どうにかなってしまいそうだ。


「倉木さん、気分はどうですか?」
「大丈夫です……」


 すぐに駆けつけてくれた看護師が血圧や検温をてきぱきとこなしていく。

 看護師によると、莉々子は貧血で倒れたとのことだった。ここ最近の寝不足も関係したのか、三時間も眠り続けていたそうだ。

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