俺様社長に甘く奪われました

「この点滴が済んだら帰れますので、声を掛けてくださいね」


 看護師はそう言って病室をあとにした。


「いったいなにがあった。どうして望月は莉々子が倒れても知らん顔だったんだ?」


 椅子に座り直した祥真が莉々子を問い詰める。


「……別れたの」
「え? なんで」
「振られちゃったの、私。いろいろと問題を起こす私のことが面倒になったんだと思う。……しょうがないね、私って」


 笑って誤魔化す。そうでもしないと涙がこぼれそうだった。
 この調子では、誰とも恋愛がうまくいかないような気がする。


「……許せない」


祥真がポツリと呟く。


「いいの、私は大丈夫だから。祥真が怒る必要はないよ」
「あんな偉そうなことを俺に言っておいて、このざまはなんだよ。ふざけるな」


 祥真が怒りにまかせて自分の膝を拳で叩くものだから、莉々子が慌てて止める。申し訳なく思う反面、そう庇ってもらえることが嬉しかった。

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