俺様社長に甘く奪われました

「この前、源之助さんも含めた四人でお食事でもどうかしらって話したでしょ? それいつにしましょうか?」
 

 急にそんな話題を振られ、莉々子が困惑する。


「あ、はい……」


 助けを求めるつもりで隣を見ると、「今はちょっと忙しいから無理だな」と奏多はサラッと返した。
 いっそのこと別れたからその話はなしにしてほしいと百合に言ってくれればいいのに。
 莉々子はふたりに気づかれないように小さく息を吐くしかなかった。


 奏多に送ってもらうようにと半ば強引に百合に算段され、彼は車の鍵を部屋まで取りに向かった。マンションの前で待つように言われ、百合に見送られて莉々子が玄関で靴を履く。


「奏多となにかあったのね」


 振り返りざまに見た百合は、いつになく神妙な顔だった。さすがに百合もふたりの様子がおかしいことには気づいたようだ。今の今までは、わざと素知らぬふりをしてくれていたのかもしれない。

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