俺様社長に甘く奪われました
奪い、奪われ、幸せへ
「あれからちゃんと眠れてる?」
真紀からそんな質問をぶつけられたのは、百合の部屋に行った三日後のことだった。
仕事が終わり、ロッカールームで支度をしながら「それなりには……」と答える。
「それなりってなんなの。また倒れたりしたら大変だから、睡眠だけはきっちりとらないとダメだよ」
「はーい」
気のない返事に真紀がピクリと眉を動かす。
「こうなったら、明日は休みだし、今夜泊まりにいくことにする」
真紀は腰に両手を当てて胸を張った。まるで宣誓するかのようだ。
「え?」
「なによ、不服でもある? しっかりおいしいものを食べて、お風呂でよーくあったまって、そしてゆっくり寝る。私がその介助をしてあげるから」
「介助って……」
「それがひとりでできない人には介助が必要なの。わかった?」
私のロッカーからバッグを取ったかと思えば私に持たせ、真紀は莉々子の背中をぐいぐい押してロッカールームから出た。