俺様社長に甘く奪われました
思わず興奮して尋ねた莉々子に田崎が答える。
(志乃さんが私に手紙を……)
すぐにも開封したい気持ちを抑え、莉々子は「ありがとうございました」と頭を下げた。
田崎からの報告が終わり、奏多に見送られて社長室を出る。
落ち着いて手紙を読みたくて、五階まで戻ってから空いているミーティングルームに入った。
(いったいなにが書かれているんだろう。もしかしたら私への忘れられない恨みごとが綴られているのかもしれない)
それ以外には想像もつかず、焦る指先が開封の邪魔をする。それでもなんとか封を切って取り出した手紙は、『倉木莉々子様』から始まる、志乃の美しい筆跡で綴られていた。
『莉々ちゃん、ごめんなさい。私が犯した罪は、謝ったところで許されるものではないと十分承知していますが、今はこの言葉しかありません。
莉々ちゃんはもう気づいているとは思いますが、私が長年片想いをしていたのが望月社長でした。高校生のときから数えると、十四年にもなります。遠くから見つめるばかりで想いを伝える勇気を持てず、気づけば長い時間が経っていました。