俺様社長に甘く奪われました
「莉々子さん、そんなに緊張しなくてもいいのよ。リラックスしてお話ししましょう」
「は、はい……」
百合にそう言われ、それとなく東条を見てみれば、口を真一文字に結び、いかにも不機嫌そうな様子。そんな顔を見ると、とてもリラックスなんてできたものではない。そそくさと目線を自分の手元へと落とした。
「ほら、源之助さんがそんな怖い顔をしているから、莉々子さんがびっくりしちゃっているじゃないですか」
「あ、いえ、私は……」
慌てて否定するものの、莉々子の声は彼女の耳に届かないようで、百合がおもむろに東条の顔に手を伸ばす。なにをするのかと見ていると、東条の両頬を百合が引っ張った。
「ほらほら、もっと笑ってくださいな。源之助さんはせっかく素敵な笑顔をお持ちでいらっしゃるんですから」
東条に無理やり笑顔を作らせる。
「や、やめなさい、百合ちゃん」