俺様社長に甘く奪われました

「奏多から話は聞いているよ。総務部で頑張ってくれているそうだね」
「は、はいっ」


 突然話を振られて面食らいながらも、莉々子は背筋をピンと伸ばして元気よく返事をする。


「イベント関連のことや備品管理などをさせていただいております。みなさんが仕事を円滑に進められるように日々努めています」
「それは頼もしい」


 東条が言ってくれた言葉に、莉々子はつい気を良くする。そんな言葉を掛けてもらえるとは思ってもいなかった。


「とても感じの良い娘さんだ」
「そうなのよ、源之助さん。とても気持ちの良いお嬢さんなの」


 東条と百合の思わぬ言葉には恐縮してしまう。


「源之助さんも、ふたりのことは祝福してくださるでしょう?」
「まぁ、そうだな」


 少し甘えたように言う百合に、東条はさっきからデレデレし通しだ。グループ企業をたくさん抱える大手商社のトップにはとても見えない。

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