俺様社長に甘く奪われました
◇◇◇
四人での食事を終え、莉々子たちはそのまま最上階のラウンジへとやってきた。
カウンターに座り、ロゼで乾杯をする。
「どうなることかと思いましたが、東条社長から許していただけて本当によかったです」
「俺は東条社長が許そうが許すまいが、莉々子を手離すつもりはないけど」
胸を撫で下ろす莉々子に、奏多がいたずらっぽく笑う。
戸籍の上では父親ではないかもしれないが、奏多も本当は許してもらえて嬉しいはず。それは、彼の明るい表情からもわかった。
「東条社長と百合さんは結婚されないんですか?」
先代は亡くなり、当時結婚した妻とは何年も前に離縁している。ふたりを遠ざける要因は、なにひとつないだろう。仲睦まじそうな様子を見ていると、結婚するのが自然な流れに莉々子には思えた。
「少なくとも東条社長のほうは、それを願ってる」
さきほどの様子を見ていれば、莉々子にもよくわかる。百合を好きで好きでたまらないといった感じは、手に取るほどだった。