俺様社長に甘く奪われました
眉をひそめる莉々子を望月は微笑ましいものでも見るかのように見つめる。
莉々子はそんな彼を不可解な気持ちでしか見られなかった。どういう考えをもってすれば、ふたりが付き合う結論が導き出されるのか。そんな安易な気持ちで始まる恋に未来は見込めない。
望月の話をシャットアウトするように、莉々子はカマンベールチーズをひと切れつまみ、シャンパンで流し込んだ。
まるで雲の上を歩いているみたいに身体がふわふわとして心地良い。贅沢な空間で一生口にすることのないシャンパンを飲めるのは今夜だけ。
そんな幸せを噛み締めながら、莉々子は緩やかに訪れる酔いに身を任せた。