俺様社長に甘く奪われました
◇◇◇
瞼に感じる日の光が莉々子に朝だと告げる。
半覚醒の状態でまどろみながらベッドの上に足を滑らせると、いつもと感触が違うような気がした。
(こんなに張りのあるシーツだった? 素肌を優しく撫でるような、こんなに滑らかな毛布だった?)
そんな疑問が浮かんだところでゆっくりと目を開ける。
(……ここ、どこ?)
窓から光が差し込んで明るいのに、部屋には煌々と明かりが点いていた。
ハッとして上体を少し起こすと同時にこめかみに激痛が走る。なにかで思い切り殴られたような痛みだった。
「イタタタ……」
頭を押さえながら莉々子が部屋を見渡したところで、ようやく昨夜のことを思い出す。望月と部屋で飲んでいたのだ。
大きなベッドでふと隣を見ると、スヤスヤと気持ち良さそうに眠っている彼がいた。
(う、嘘! ま、まさか……!)
毛布に隠れていた自分の身体を慌てて確認すると、ブラジャーとショーツのみという恐るべき下着姿だった。
(嘘……違うよね? これは“そういう行為”があったのとは違うよね? “あのあと”なら裸だよね?)
自分の身体に問いかけてみるものの、猛烈な頭の痛みが邪魔して探れない。
とにかく早くここから出なくては。
ベッドサイドのソファに丁寧に畳まれた洋服を急いで着て、莉々子は取るものもとりあえずもつれる足で部屋を飛びだしたのだった。