俺様社長に甘く奪われました
ずばりと指摘されて動揺する。このまま逃げ切ろうとした莉々子の目論見は、みごとに外されてしまった。
なにも言い返せずに唇を震わせていると、望月は彼女を流し目で見て意地悪な笑みを浮かべた。
「まぁ座れ」
莉々子の座っていたスツールを望月が引く。
「最初から嘘だとわかってたよ」
「……最初って、私が『彼氏がいますから』と言ったときですか?」
望月は思い出したように口元を軽く綻ばせながらうなずいた。
「人間は、嘘を吐くときにはそれがばれないように必要以上に相手の目を見つめるものだ」
言葉もなかった。まさにそのとおりだったのだ。目を逸らしたらアウトだと思い、強烈に望月を見つめた自覚が莉々子にはある。心の中を覗き見されたようで恥ずかしい。
「ほら、座れ」
もう一度言われても、素直に応じることができない。