ネコと教師
0 ある公園にて
とある公園の片隅に、小さな影がふたつのびている。
「じゃあこっから順番にやっていこうか」
片方の、少しだけ長い影の根本から、わんぱくそうな少年の声がする。
すると、もう一方の影は、すとんと一層短くなった。
そしてそこから、
「いやだよ。よくないよ、こんなこと。やるんならひとりでやりなよ」
と、高くか細い少女の声が応えた。
しかしなお、少年の声は言った。
「なんでだよ、おまえとやんなきゃ意味ないじゃんか」
その言葉に少女の声は怪訝そうに問うた。
「どうしてあたしがいっしょじゃなきゃいけないの」
少年の影はしばらく困ったように身をすくめたが、すぐに胸を張って返した。
「俺ら、親友だろ」
それを聞いた少女の影は、ゆっくりともとの長さまで伸び、
「……じゃあ、順番ね」
と、まるで初めからそうだったかのように、少年の影を追いこしてみせたのだった。