ネコと教師
「ば、いやアホかおまえは!そういう冗談は、冗談でも言っちゃいけないんだよ。早く帰れ。そうだ。遅い時間でおっかないってんなら送ってやるから」
「えー!なんでだよ?」
(なんでだよじゃないよ)
「まあいいけど。そういうつもりなら」
言うやいなや、白石はいままでからからと手で押していた自転車にまたがってぴゅーと私の行く先へ進んでいった。
(え?なにを……)
「先に先生んち行ってるねー」
そして絶望的なひと言を残して、おれがいつも曲がる角をその通りに曲がって、消えていった。
な、なんで……。
もしかして、場所知ってやがる……?
おれはもう夏も近いというのに、背筋にぞっと寒気がするのを感じた。