ネコと教師
1 猫だと思えばいいじゃん
7・7
世間では七という数字を縁起のよいもののように言うことが多いが、私はこの数字によい思い出などひとつもなかった。
それどころか、私にとってこの七という数字は、極めて縁起の悪いもので、これまで二十五年の人生の中で、この数字が運んでくるものが災厄以外であってくれたためしがなかったぐらいだ。
たとえば小学一年の秋。
七歳の誕生日のその日に急性盲腸炎で病院に運ばれたし、その年の冬にはインフルエンザとおたふくかぜをいっぺんに患った。
中学二年の夏には、当時クラスメイトだった赤西という子が学校の七不思議を探ろうと言って夜中の学校に忍び込んだはいいものの、途中彼とはぐれてしまい、物陰から飛び出してきた赤西に驚いて失禁してしまった。
高校三年、十七歳の春には、たまたま通り過ぎようとしたパチンコ屋のガレージから出てきた急発進バイクにぶつけられて右の腕にヒビを入れられたこともあった。
そのままひき逃げられ、とっさにナンバーを見たものの、腕の痛みでそれどころではなく、けっきょく覚えていたのはプレートの最後に「7」と書かれていたことだけだった。
だが、それでは警察も割り出しようがなく、あえなく泣き寝入り。まさに骨折り損であった。
他にも思い返せば枚挙にいとまないがほど、私と七は相性が悪かったのだ。