ネコと教師

(……なに言ってるんだこの人。あんた親だろ。保護者だろ。なんでそんな無責任なことが言える?)

もうちょっとでそれがおれの喉から出かかったところで、後ろから肩をぽんぽんと叩かれた。

「ねえ、先生。ちょっとかわって」

振り返った先にいた白石は、珍しく真面目な顔でそう言うと、おれの手から受話器を奪って母親となにか話し始めた。

で、聞こえてきた白石の声を言語化したものがこれだ。


「うん。でっしょー?超真面目なの。いいじゃんね?泊まるくらい。うん。きゃははは。わかってるって。え?ああ、うん。おとーさんは?あ、そう。うん。じゃあね。ばいばーい」


そしてがっちゃんと勝手に置かれてしまった受話器。

……もういい。

もういやだ。

だれか、助けてくれ。

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