ネコと教師
7・15
結論をいえば、私は結局、白石をうちに泊めることになった。
といっても、法に触れそうななにかなんて、もちろんなにもしていない。
ただ勉強を教えて過ごしただけだ。
夜は家の床には白石を寝かせ、私はガレージの車の中で寝た。
なにをどうも、しようがあるまい。
だがしかし、やはり後ろめたさがあった。
なにせ、かたちはどうあれ、自分の受け持ちの女子生徒を家に泊めたのだ。
大人として、教師として、こんなの、許されるものではない。
いや、そうじゃない。
大事なのはそんなことじゃないんだよ。
おれは自分を裏切ったのだ。
それが一番腹立たしく、虚無感を与えた。
「なにやってんだよ、おれは」
暑苦しい車の中、ひとりごちる。
そりゃ、おれは教師になって日が浅い。
ただ教員免許持ってるってだけの青二才だと言われればそうかもしれない。否定できない。
それでも、生徒にとっちゃ新米もベテランも、そんなのは関係ないはずだ。
それなら、自分のことでいっぱいいっぱいになって、生徒のことをまともに考えられなくなってしまった教師なんか、最悪じゃないか。