ネコと教師
さて、ところで今日は七夕である。
七がふたつもならんだこの日に、そりゃなにもないだろうなどと楽観してはいなかったものの、それでもやはりここまで非道い当りがあろうとは思っていなかった。
私がその噂を聞いたのは、今朝の職員会議でのことだった。
いわく、「三年一組出席番号十六番、白石淳子《しらいしじゅんこ》は、不純な異性との交易をこなしている」とか。
それはなんだね、担任の大倉政司《おおくらまさし》くん。
は。平たく言って、売春。
今風に援助交際と呼ばれているもののことですな。
私は頭を抱えた。
(また白石か……)
犯人のわかり切っているミステリーほど感心の薄いものはない。
わかり切っているのだ。誰がこんな噂を垂れ流し、そして広めているのか。
とはいっても、放っておくわけにもいかなかった。
こんな私だって、保身は気にするのだ。