ネコと教師
「最低けっこう。自覚あるし。しょうがないじゃん、性分みたいなもんだし。それでオレを嫌うならそれもまたけっこう。でも、ヤンキーの噂はコソッと言うのがコツ。奴ら仲間連れてボコりに来るから」
最低なんだか男らしいんだか、やっぱし最低なんだか。
……いや、最低なのは俺だ。
好きな女をコケにされて、それを庇うどころか、こうやって逆に加勢しちまってるんだから。
聞こえてるんだろうな、俺の声も。多田のひどい物言いも。
(ちっ、こすい奴だな、俺……)
「でも、順平の言うことって、大抵根拠ないしなあ。白石の噂だってさ、ほとんどホラだってはなしだろ。それってどんだけの信憑性だよ?」
俺が愛想笑いの崩れないよう努力している横で、木村が追い打ちをかけるように白石をフォローした。
なんだよこの色面《いろづら》。まともぶりやがって。