ネコと教師

「あれ。そう?大倉先生がどうのとか、あたしがどうしたとか、聞こえてたんだけど」

(ぎゃああっ!)

「あ、あ、ああ。それな!変な噂、流れてるんだってよ。白石と大倉が、いっしょに住んでるとか、なんかそんなん。あ、ははは。バカみたいだよな!誰がそんなもん真に受けるかっての!ははは……」

急速に喉が渇く。

舌がしびれる。

ぴりぴりする。

背中が軋む。

汗が垂れる。

「噂ってゆうか、ほんとだし。それ」

「はは………、は?」

白石のことばに、俺の体は完全にぶっ壊れる。

沈黙。

フリーズ。

機能停止。

いや、オーバーヒートしていた思考はむしろ冷静さを取り戻し、俺に得体の知れない気味悪さと喪失感をズドンと、のしかからせてくれた。

「ま……マジ?」

「うん」

体はさらに凍りついていく。

頭はさらに冴えわたっていく。

「……ああ、そうなんだ。そ、それじゃ、せいぜい親にばれないように気をつけろよ」

そしてなぜか助言。

「もう知ってるよ。親公認。いいでしょ。すごくない?」

なんだろうか。

とうとう頭まで事態を追うことについていかなくなってきた。

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