ネコと教師
「そ……そっか」
こんなことばしか出てこない。
「うん。だから、別にそんなこそこそ隠れて話さなくていいよ。むしろ広めてほしいくらいだもん。あたし、いま超幸せだし――」
――みんなにも知ってもらいたいよ、だと。
ははは。
その瞳まさに“恋する淳子は綺麗さ~”と郷が歌い出しそうな勢い。
目の前が真っ白になるって、こういうのを言うのか、と思った。
そのさきは、なにをどうやってどうなってどうしたのかあんまり覚えていない。
ただ、気がつくと俺は、自分の家の自分の部屋のせんべい布団の上にいて、土下座するようにひざまずき、顔を涙と鼻水と冷や汗でぼろぼろにしながら、ゲロ吐きそうなくらいにでかい声出して、なんか、泣いていた。
まあそんなで、………俺は失恋した。